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色は記憶を運ぶ舟のように
夕暮れの光景を一枚の写真に閉じ込めたとき、そこには言葉を超えた感情が滲み出る瞬間があります。
私にとって色は「記憶」や「感情の断片」を呼び覚ます、静かな共鳴装置のようなものです。
今回の写真に惹かれた理由は、そこに映る「光」よりも、「色の温度」でした。
ほんの少しセピアがかった色調が、まるで過去に戻るような安心感を与えてくれます。
それが事実かどうかよりも、「どう感じるか」が私にとっては大切で——
このパレットから読み取った5つの色も、心の奥の何かにそっと触れてくるのです。
写真から抽出した5つの色彩
- #CE9C6B – 明るいテラコッタ:
やわらかくて、どこか懐かしい。土の匂いを思い出すような色。
何も語らずとも、そこにあるだけで気持ちをほどいてくれる。 - #24240B – 漆黒に近いグリーン:
夜の森の中に立つような静けさ。色というより「深さ」のような存在。 - #6C4619 – 木のようなブラウン:
地に足をつけて生きる強さ。背中を預けたくなるような安心感。 - #FBD6A2 – ほのかなベージュ:
赤ちゃんの肌のような優しさを思わせる。光と風が似合う色。 - #FCE8C1 – 薄く透ける白:
すべてを許すような静けさ。色というより「余白」に近いかもしれない。
色彩がもたらす空間と物語
このパレットは、秋の午後のようなぬくもりを宿しています。
けれど、それは季節に縛られたものではなく、「感情の温度」を表現する道具としても使えるのではないでしょうか。
私はこうした色彩を、次のような場面で活かしてみたいと感じています。
- 深く呼吸したくなるようなリビング空間
- 余白のあるウェルネス・スパのブランドカラー
- 環境と寄り添うエコプロダクトのパッケージ
- 一年を通して使える落ち着いたビジュアルアイデンティティ
色は言葉を超えるメッセージ
ホテルラウンジで出会ったローブの記憶
このローブの色を見たとき、私はすぐにこの写真を思い出しました。
肌に触れるベルベットの質感と、テラコッタの温もりが重なって、
そこに「静かな贅沢」が生まれていたのです。
色を選ぶという、静かな意志
色の選択は直感的でありながら、とても深い行為だと私は思います。
「何を伝えたいか」「どんな気持ちでいてほしいか」
そして「自分がどう在りたいか」までも、色は雄弁に語ってしまうから。
自分のブランドや作品のために色を選ぶというのは、
表面的な美しさだけでなく、内面との対話でもあるのです。
そしてきっと、見る人の心にも何かを残していく。
あなたは今、どんな色に惹かれていますか?
その色は、どんな記憶と結びついているのでしょうか?